川の詩 (Poem Of The River)

音楽、映画、本といったカルチャーから些細な日常までをその日の気分で何となく

アラン・マッギーが最も愛した天才ソングライターの名曲中の名曲は、冷え切った心を暖めてくれるのだ。

”Walk Into The Wind” by Peter Astor

(From Album "Submarine")

 

今日はえらく寒いです。本当に6月なのか?そんな季節外れに寒い日にはこんな曲が結構気分だったり。 

サブマリン 

ピーター・アスターと言えば、The Loftのメンバーとして、1980年代極初期のCreation Recordsと深く関わった人物。The Loftとしてはシングルを3枚ポッキリ出しただけで解散、新たにThe Weather Prophetsを結成、心機一転のハズが、リリース面で割を食った。デビュー・ミニはナゼかドイツのインディからリリース、デビュー・アルバム"Mayflower"は、CreationとWEAの共同出資レーベルであるElevation Recordsからリリースされるも、間もなくレーベルが閉鎖の憂き目に遭い、2作目の"Judges, Juries and Horsemen"はCreationからリリースされたものの、めでたしとはいかず、メンバーが次々と脱退、シングルを1枚出した後に解散している。何だか割に合わない活動のバンドだった。

 

Elevation Recordsについては、セールスがパッとしない事を理由にWEA側が一方的に契約を切ったってヒドい話もあるが、Creation総帥のアラン・マッギーにしてみれば、彼が関わったアーティストの中で一番愛する面々を送り出したのだ。実際にここから出たのはThe Weather Prophetsと、古くからの友人であるボビー・ギレスピーPrimal Scream、元Orange Juiceのエドウィン・コリンズのソロ・シングル。セールスが順調ならば、盟友エド・ボール率いるThe Timesや、自身のバンドBiff Bang Pow!も出ていたのだろうか...。しかし、そっちにいってたら後のCreationは無かったかも。空恐ろしい妄想だったのでこの辺で。

 

アランがThe Weather Prophets及びピーター・アスターを最高のソングライティングの天才と思っていたのは確かで、彼は初期ベーシストとしてバンドをサポートしたし、ピーターの曲をBiff Bang Pow!名義でコッソリ演っていたりする。ちょっといい話。

 

そんなソングライティングの天才=ピーター・アスターが1990年に初めて出したソロ・アルバムが"Submarine"で、この曲はそこに収録されている。フォークを基調としたアコースティックなサウンドとエレクトロニックな打ち込みサウンドが融合しているが、非常に穏やかで温かみのある曲になっている。寒くてたまらない日には心を温めてくれる。ハーモニカの音が入っているが、クレジットが無いのでキーボードによるものか?イチイチ書かなかっただけかも。

 

ちょっと切ないけど優しい歌詞もサイコー。歌詞中に出てくる「キング・オブ・コメディ」ってあのスコセッシ&デニーロの名作映画から取られているのかな。だとしたら大好きな映画だけに嬉しい。あまり賛同してくれる人はいないけど。パプキンみたに狂信的なまでに好きなものに誠実でありたい、とかね。妄想好きなところは変わらないけど。

 

ピーターはその後ルーツであるフォーク志向を強めたソロ作品や、ハウスっぽいThe Wisdom Of HarryやEllis Island Soundで活動した。それぞれ非常に味わいのある作品ばかりで、彼の天才ぶりが窺えるのであるが、寒い日には間違いなくこの曲がいい。

 

Submarine

Submarine